3軸マシニングセンタでも複雑な立体形状を加工可能なソフトウェア
3Dプリンタが注目を浴びていますが,切削加工用CAMソフトウェアを開発・販売している弊社としては,このまま3Dプリンタの波に飲み込まれるわけにはいかないと,日々ソフトウェアの開発をしております. そもそも,なぜ3Dプリンタが脚光を浴びているのかというと,大きくは二つかと思います.
1つは,切削加工では製作できないような形状,特に内部に空洞が存在するような形状を1工程で全て加工できるという点です.内部に空洞が存在するような形状は,切削加工では工具がアプローチできないので,このメリットは3Dプリンタが強いです.こういったものを加工したいような場合は,ぜひ3Dプリンタをおすすめします.
2つめは,段取り作業の簡便性にあると思います.製作したい3DCADモデルさえあれば,難しいこと考える必要もなく,お手軽に工具経路を生成できて,すぐに加工を開始できるという点です.切削加工だと,3DCADモデルからCAMソフトウェアを使って,加工する領域を選択したり,境界条件を選択したり,膨大なパラメータを決定したりと,CAMオペレータという専門職があるくらいです.つまり,切削加工はプロの人しかできず,3Dプリンタなら初心者でもできそうというのが,最近の常識になってしまっているかと思います.
しかし,3Dプリンタはなんでもお手軽に製作できると思われがちですが,まだまだ精度や加工時間,装置の価格などの面において,最終の製品形状を3Dプリンタのみで加工できるところまではきていないのが現状です.それでは,どうしているかというと,ある程度の形状までは3Dプリンタで製作して,最終の表面仕上げは切削加工でしているという非常に非効率な工程を行っているところもあります.結局切削加工をするなら,全部切削加工でやりませんか,というのが弊社が提案したいところです.
結局は,切削加工するための工具経路を生成するCAMソフトウェアが難しすぎるのが問題なので,難しいことを考える必要なく工具経路を生成できるCAMソフトウェアを低価格で弊社は提供しています. 前置きが長くなりました,今回は3軸マシニングセンタだけでも3Dプリンタでできるような複雑な立体形状の加工ができる機能を追加したので,紹介します.
加工する形状はこれです.私のこどものおもちゃを3次元スキャナで撮影して3DCADモデルを取得しました.オーバーハングがあるような形状ですので,普通に考えると3軸加工機では切削できないです.
しかし,内部に空洞がなければ,基本的には上面と横面の4面方向全てから加工すれば,なんでも加工できます.取り付け時の位置決め誤差など,気になる部分はあるかと思いますが,それでも3Dプリンタで加工するよりは高い精度で加工できますので.これまでは,そんなことを考えるようなCAMソフトウェアがなかっただけですので,組み込みました. 弊社ソフトウェアは下図のように,被削材に対して,加工したいモデルを中心に配置することができます.また,加工したいモデルをソフトウェア内回転することができますので,加工方向を順に変更しながら工具経路を生成していきます.
たとえば,今回加工するモデルでは,モデルの手前方向と奥方向から加工すれば,おおむね形状ができます. 工具経路は,次のようになります.
そして,順に表面と裏面を加工していくと次のようになります.
これは,樹脂で加工していったのですが,表面と裏面を加工するので,加工する深さは被削材の半分になるように加工したのですが,モデルが斜めを向いていたため,手の部分に未加工の領域が存在してしまいました.加工する深さを十分に設定しておけば,こんなことにはならなかったので,加工後にみたときには少しショックでした.
失敗のまま終わるわけにはいかないと思い,もう一つ加工してみました. 2回目は結構うまいこといけたと思います.
いかがだったでしょうか.弊社ソフトウェアがあれば,複雑形状の一品生産でも難しい操作なく加工できそうではないでしょうか. ご興味のある方は,こちらまで.