オリジナルマインドのQt100での加工事例

弊社ソフトウェアBESTOWS Millingを使って,実際に加工しているデモ動画はないかという要望にお応えして,実際にNC工作機械を使った加工事例をご紹介します.

YouTubeに動画を公開しています.こちら

今回使用した機械は株式会社オリジナルマインドのQt100です.Qt100はもう生産が中止になっていますが,オリジナルマインドが提供しているNC工作機械はキットを購入して自分で組み立てて作ります.自分で組み立てる分,非常にお手頃な価格(安いものでは20万円程度)で提供しているので,お金のないソフトウェア研究者が検証のために使用するには非常に有難い代物です.

今回加工するモデルはこれです.歯科補綴物です.

私も最近虫歯治療をしたのですが,最近の詰め物は銀色じゃないんです.最近はレジンを削り出しで加工して,見た目歯にそっくりなものになっています.まさにマスカスタマイゼーションにぴったりなモデルです. ということで,まずは3次元モデルを作成して,STL形式で出力したファイルを準備しておきます.

まずはBESTOWS Millingでの操作です. 起動して,モデルの読み込みや加工条件をセットします. 被削材の寸法を入力.

次に製品形状のSTLファイルの読み込み.ここで,ちょっとした便利機能ですが,STLファイルを読み込む際に,拡大率を任意に変更することができます.1倍だとそのままですが,2倍にすると形状は同じでも大きさが倍になります.例えば,新しい製品のデザインの試作をしているときに,一度加工して実物をみて,イメージと違ったからちょっとサイズを変更して加工してみようとしたときに,いちいちCADソフトを開いて,STLファイルを作り直していると,結構手間ですよね.そういった手間が省けます.

次は加工条件をセットします.ここでは,工具回転数,送り速度,工具径,工具の種別,あとは加工深さ,半径方向切込み量,軸方向切込み量をセットして,あとは工具経路の生成を押すだけです.

これで,工具経路は自動で生成されます.弊社はNCプログラムの自動生成をしているといっている割に,加工条件は入力しないといけないのかというお叱りを受けるかもしれませんが,現状の製品段階ではこの条件のみは入力していただくことになっています.これは以前の記事(製品化のために外したこと)でも書きましたが,研究段階ではできていても製品にするにはまだまだ越えるべき谷があると判断して,ここの完全自動化はまだ製品では実現していません(一部BESTOWS Process Planningでは実現している).そのうちに加工条件もいちいち手入力する必要がなくなりますので,ご期待ください.

さて,工具経路は自動で計算されて,実際に算出された工具経路は画面で確認することができます.NCプログラムの出力ボタンを押せばNCプログラムがテキストファイルとして出力されます.

出力されたNCプログラムの最初の2行はオリジナルマインド用に下記のように書き換えてあげる必要があります.

G00G21G17G90G40G49

G80

これであとはQt100で加工を開始するだけです.オリジナルマインドでは,CNC4.02 (http://www.edingcnc.com/index.php?pagina=202_download-v402&taalid=1)を使っています.機械で工具を原点の位置まで動かして,その位置を原点にセットすればワーク座標の設定完了です.あとは加工開始を押すだけです.

こんな感じで削れていきます.


そして,最終的に加工が完了です.

いかがでしたでしょうか.NCって難しそう,CAMって聞いただけで拒否反応と言われる方もいるかもしれませんが,これだったら簡単にできそうではないでしょうか.